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† 姫と剣 †
第3章 決闘


「少し一緒に歩きながらお話でも、いかがですか?」


「ロイ王子……」


「今朝、アノアに帰国する予定だったんですがね、どうしてもあなたともっと話したくて出立をずらしたんです」




ロイは、ルシアに手を差し出す。


その様子をリューイは後ろから見つめていた。




「そう、ですか…。宮殿の周りで宜しかったら…」



ルシアはロイの手を取って微笑む。


ロイはそれに微笑み返すと、後ろに佇むリューイを見た。



「君はついてこなくていいよ」


「……そういう訳には」


「大丈夫、何かあれば俺が姫を守る」




黙り込んでしまったリューイにルシアも、「大丈夫よ」と声を掛ける。



「宮殿の周りを歩くだけ、だから」


「…………分かりました」



リューイが頭を下げるとルシアは、ふん…と静かに息を吐いた後ロイの事を見上げる。




「行きます、か」


「ええ」




並んで歩いて行く2人の背中をリューイは、黙って見つめていた。




「心配そうに見つめていますね」




横目でリューイの姿を捉えながら、ロイがそういうとルシアは足元を見るようにして俯いた。




「それが、彼の仕事…ですから」



不意に女の顔を見せるルシアにロイは釘付けになった。


昨日、バルコニーで転びそうになったルシアを助けた時に触れた体の感触にロイは違和感を感じていた。


鍛えられた者の体。



そして、それが先ほど見せた華麗な剣技で納得がいった。

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