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† 姫と剣 †
第3章 決闘

ルシアは聡明なだけではない。


その辺の兵士よりも、何倍も強い。


城の中で座って話しているだけの姫とは格が違う。


このたった2日でそれに気付いたロイは、ルシアをもっと知りたいと強く興味を示していた。




「昔から、剣技を……?」


「そう、ですね。自分の身は自分で守ろう、と、そう強く思っていたので」


「逞しいお方だ」



ルシアは、そう言って笑うロイの方を見る。


掴めない。


何かを考えているはずなのに、腹の底が見えずに警戒してしまう。


悪い人ではない…はず、だが。



「ロイ王子は……第3王子とおっしゃいましたっけ」



ルシアの問い掛けに、ロイは「ええ」と返事をしながら、ルシアの様子を伺う。



「王位継承順位下位の私には、あまりご興味ないですかね…?」



え……?と首を捻ったルシアは、真面目な表情のロイを見て、思わずプッと吹き出した。



「ルシア姫……?」


「何をおっしゃっているんですか。 そんなの全然気にならない…というか気にした事なかったです」



ケラケラと笑うルシアは、笑いで滲んだ涙をそっと拭う。



「ご兄弟が何人いらっしゃるのかなぁってそう思っただけですよ」


「あ、あぁ……なるほど」



釣られて笑ったロイは頭を掻いた。



「兄が2人、と妹が2人、の5人ですね」


「へぇ…! そんなに!素敵ですね」


「素敵……かどうかは…分かりませんが」




ロイはそう言いながら、口うるさい兄2人と、これまたやかましいまだ幼い2人の妹を思い浮かべていた。

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