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† 姫と剣 †
第3章 決闘

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シャロンからもらった花束の隣に、マヤが一輪挿しを置く。


ルシアがロイからもらった白い花がそこには飾られている。


もう少しでロイが来る約束の時刻、マヤはやや興奮気味にルシアの方を見た。




「アノア王国の王子に気に入られるなんて、さすがルシア様ですっ……」



ブラシを掴んだマヤは、ルシアの身だしなみを整える。



「どういう意味よ……」


「だってアノアの王子ってそろってみんな超美男子で有名って噂じゃないですか」


「………そうなの…?」



知識が豊富なルシアだが、そういった俗っぽい噂には疎い。



「そうですよーー! ロイ王子も美男子なんじゃないんですか?」


「うん……まぁ、そうね」



背は高く、漆黒の長い髪、まるで海を思わせるような真っ青な瞳。


女性と言われても納得してしまうほど、綺麗な顔立ちをしている。




「でも……なんか結構勢いのある方で、のまれちゃうのよね」


「勢いのある……美男子、かぁ…」



うっとりした様子のマヤに、ルシアは呆れたようにはぁとため息をつく。




「そろそろ行くわ」



ルシアが立ち上がったのと同時にトントンとノックの音が響いて、マヤが扉へ向かう。



「はーい」



扉を開くとマヤは、ふぁっと変な声を上げて口元を覆った。




「マヤ……?」


「こんばんは、ルシア姫」


「ロ、ロイ王子」



突然の王子の訪問に、ルシアも慌てて思わず後ずさった。



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