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† 姫と剣 †
第3章 決闘


そのルシアの可愛らしい行動に、ロイは思わずクスクスと笑うと、先程用意させた余分なグラスに持ってきた酒を注いだ。



「お約束の、我が国アノアの酒です」


「これが……」



真っ赤な液体がグラスの中で踊るのをルシアは眺める。




「赤ワインみたいですね」


「そうですね、見た目はよく似ています。鼻に抜ける香りとほのかな甘みが特徴です」



はい、と差し出されたグラスをルシアは掴む。


じっくりと観察するようにしてグラスを傾け、匂いを嗅いだ。




「いい香り……」


「お口に合うと良いのですが」



ガラスに口を付けたルシアは恐る恐るその酒を口に含む。


途端にさわやかな香りが鼻を抜けたと思いきや、くどすぎない甘さが広がって、ルシアは思わずわぁと小さく呟いた。




「美味しい……。あまりお酒っぽくないですね」



そう言って二口、三口と飲み進めるルシアをみて、ロイも自分の酒を飲む。




「だからってあまり飲みすぎないようお気を付けくださいね。これはれっきとした酒、ですから」



そう言いながらも、空になったルシアのガラスにロイはさらに酒を注ぎ足す。



「さすが……アノア王国のお酒ですね」


「お口に合ってよかったです」



そう言いながら、ロイはルシアを抱え込むようにしてソファの背もたれに腕を回す。


そして、少し戸惑った様子のルシアの瞳をじっと見つめた。




「あの…どうかされました…?」


「緑の瞳の持ち主は……アノアでは奇跡の子として崇められます」


「そう……なんですか」



ええ、と返事をするロイに、ルシアは片手を顎に当てると、あっと声を上げた。




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