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† 姫と剣 †
第3章 決闘



「はぁっ……はぁっ……」



ロイはやっとキスをやめると、涙目になりながら息を整えるルシアを愛しげに抱き締める。



「薬が…効いてきましたか……?」


「くす…り……っ……? はぁっ……」



金色の髪をルシアの耳にかけたロイは、そのままフッと息を掛けて耳殻を舌で攻め立てる。




「体が熱く疼くでしょう……?」


「ロイ……おう…じ……っ」


「苦しいでしょうから…私が静めて差し上げます」




ルシアの胸元で編み上げられている紐を、ロイはゆっくりと引っ張って解いていく。


油断していた────


ルシアは、ロイの体を跳ね除けながら、テーブルにあるグラスを見る。


酒に何かを盛られたに違いない。


薬、と言っていたが……


グラスに何かを仕込んだ様子はなかった。つまりは酒自体にもう盛られていたということ。


だが、同じものをロイも飲んでいたということから推測するに、毒とかではない…はずだが……




「軽い媚薬ですよ」


「びや…く……っ」




ルシアの疑問を見透かすようにして、ロイが答える。そして、興奮した様子で、深く息を吐いた。


力が入らない。


そのままでは襲われてしまう……



「リューっ…───」


「私の前で他の男の名を呼ばないでいただきたい」




口を塞がれて、ルシアは暴れると、一筋涙を流した。



媚薬が効くはず。


そうすれば身体は思うままに……


そのロイの想定とは異なり、依然として抵抗を続けるルシアにロイは胸を痛めた。



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