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† 姫と剣 †
第3章 決闘

「はぁっ……」
口から手を離され、ルシアは苦しそうに息をする。
「ルシア姫……」
「もぅっ……やめ…てっ……」
自分の体を抱き締めながら、ルシアがそう声を上げるとロイはグッと奥歯を噛んだ。
「そんなに私が嫌ですか……?」
「……っ……はぁっ…」
「それとも、誰かに操を立てているんですか」
ロイの問い掛けに、ルシアは無意識に扉の方に目を向ける。
「そうですか……あの騎士、ですか」
「あっ……」
髪をかき上げたロイは、ルシアの首に口付けを落とすとそのまま強くルシアを抱きすくめた。
「必ずあなたを振り向かせて見せるっ……」
そう呟いたロイはそのまま立ち上がると、力が入らずぐったりとしているルシアを抱えて軽々と持ち上げた。
「ロイ……王…子…」
「私は今まで欲しいものは必ず手に入れてきました」
ベランダの扉を開けると、フワッと風が舞い込んで、ルシアとロイの長い髪が靡いた。
「な、なにっ…を……っ」
「あなたを攫います」
ロイはルシアを抱えたままバルコニーの下を見る。
「はっ……ロイ様っ……」
下からロイを見上げるセスは、ロイが事前にいっていた通り、そこに現れたことに驚いている。
ロイは片手でマントのような服から、紐の束を出すと、端を手際良くバルコニーの策にくくりつけ、もう一方を自身とルシアに巻きつけた。

