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† 姫と剣 †
第3章 決闘
喚くセスに、ロイは余裕そうにフッと笑う。
「気に入らないのなら、ついてくるな」
「……王子………」
「考えるよりも体が先に動いてしまった。それほどまでに、俺はこの姫が欲しい。それだけの話だ。別に弁解する気もない」
そしてロイは再び片手で強くルシアを抱き締める。
セスはその様子を見て、はぁ、とため息を吐く。
もちろん、ロイは身分からもその顔立ちからも、女に困ったことはない。
むしろ本人が望む以上に人が群がる。
そんな中で、これまで一度も今ルシアに見せているような態度を見せたことはない。
ロイの言う通り、気まぐれではなく、これは本気、なのだろう。
ずっと側にいたからこそ、セスにはそれがよく分かる。
「ロイ王子っ……もう追手が!」
セスが観念している中で、他の従者がそう叫ぶ。
ロイは、ハッとして背後に目を向けた。
騎乗したまま、弓を構えるリューイの姿にロイは軽く笑う。
「やはりあいつか」
そう呟くロイの腕の中で、ルシアは柔い抵抗を続ける。
段々と意識が戻って体も動くようになってきている。
依然として状況が飲み込めないながらも、ロイの腕強く掴んだ。
「離し…てっ……」
「いえ、離しませんよ」
ロイがそう返事をしたのと同時に、ヒュッと風を切る音が背後で響く。
「ロイ王子っ…!危ない!」
セスの声に、ロイは体を横へ反らせる。
「っ……─────」
リューイの矢が、ロイの肩の布を破く。
そして、ロイの額に冷や汗が流れた。