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† 姫と剣 †
第3章 決闘
「姫……お怪我はっ……」
風邪の時のように赤らんだ顔と、荒い息のルシア。
リューイはそんなルシアの頬に手を添えながら、慌ててルシアの体のあちこちを見る。
「リューイっ……来てくれ…たっ…」
「もう大丈夫です……っ」
ルシアの潤んだ瞳から涙が流れる。
そして、リューイの腕に必死にしがみついてきた。
「大丈夫…よ…っ…媚薬を…少し盛られた…だけ」
「媚薬…!?」
驚くリューイに、ルシアは緩く微笑みながら、コクリと頷く。
「でも、量は多くなかったみた…い…。それに…もうずいぶん…醒めて、きた…」
震えるルシアの手をリューイは掴むと、そのまま馬の方向転換をして、地面に落ちたロイの方へと向かう。
「王子っ………」
負傷したところを押さえながら、セスは、地面に座り込んで肩を押さえているロイに近付く。
「止血しなくてはっ……」
まとっていたマントを脱いだセスは、それを丸めてロイの肩へと押し当てる。
ロイは顔を歪ませながら、馬でゆっくりと近付いてくるリューイを見上げた。
「まさか一人で全部倒してしまうなんて……。それなりに強いやつを残したつもりだったが、さすがだ」
「そんなことはどうでもいい。姫を攫うなど…どういうつもりだ」
大剣が、再びロイに向けられる。
「無論、戦争は避けられない。これはアノアからローハーグへの宣戦布告ということだな」
リューイの言葉にロイはフッと笑うと、ルシアが「待って」と剣を握るリューイの手に触れた。