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† 姫と剣 †
第4章 約束
辺りはもうだいぶ明るい。
遠くから、また再び砂埃が立っている。
「姫……お下がりください……」
「リューイ、血が…っ…」
「また敵かも知れません」
そう言いながら、リューイは再び剣を構える。
二人で固唾飲んで砂埃の中を見つめる。
「ルシア様ーー!!! ルシア姫ーー!!!」
砂埃から現れたローハーグ兵は、ルシアとリューイの姿を捉えて、ホッと息を吐く。
「いらっしゃったぞーー!!! ご無事だ!!!」
その号令を聞いて、リューイとルシアの力が抜ける。
「良かったっ……今度こそ迎えの兵みたい」
ルシアと同じく安堵したリューイは、ふぅ…と息を吐くとそのまま崩れるようにして膝を地面につけた。
そのまま自身に刺さる矢を見つめてそれを掴む。
そして意を決して目を瞑ると、ふんっと踏ん張った声を上げながら矢を引き抜く。
「リューイっ…!?」
「姫…お怪我は────」
そう言いながら、リューイは、意識を失い、勢いよく地面に倒れる。
「いやっ…! リューイ!!!!リューイ!!!!」
兵士が駆け付ける中、ルシアは倒れ込むリューイの脇でひたすらにリューイの名を叫んでいた。