この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
† 姫と剣 †
第4章 約束
━━━━━━━━━━━━…
ベッドの上で息苦しそうに身を横たえるリューイの脇で、ルシアは体をカタカタと震わせながら祈るように両手を合わせる。
「毒が抜ければ…問題はないのですが」
医師の言葉に、ルシアのそばに立つマヤが「毒……」と繰り返す。
「ええ、ただの矢ではなく、毒矢だったようで……。矢自体の傷はそこまで深いものじゃないのですが……」
「お願いですっ……助けてくださいっ…リューイにもしものことがあったら…っ…私っ…」
震えるルシアの肩をマヤが心配そうに抱き締める。
医師も取り乱すルシアの様子を見て、ふぅと小さく息を吐いた。
「彼は若い……それに強いですから。彼自身の回復力を信じましょう」
「……っ…」
ルシアは手を伸ばして、リューイの手を握る。
側から離れて欲しいと一度は思ったが、こんな形で失いたくない。
「……ルシっ……ア…」
突然聞こえてきたリューイの声に、ルシアはハッと顔を上げる。
「リューイっ…!? 気付いたの…っ…ねぇ、リューイ!」
「うわごとのようですね」
医師の言葉に、ルシアは唇を噛む。
そしてリューイの額の脂汗を、布で拭いながら切なげに見つめた。
「無意識下でも……姫様を守っているんでしょうか」
マヤの言葉に、ルシアの目に涙が溜まる。
「夢の中くらい……ゆっくりしてよ…っ」
ゆっくり休んで、早く目を覚まして欲しい……。
ルシアはそう願いながらリューイのそばで看病を続けた。