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† 姫と剣 †
第4章 約束
「さぁ、まだ治ったわけじゃない、横になって」
「いや…もう……」
「ダメだ。君は3日も意識がなかったんだぞ。医師の言うことを聞きたまえ」
医師は腰に手を当てて、リューイを諌めるとリューイは観念したようにため息をついて、ルシアの顔を見つめた。
「姫……」
「う、うん」
「すぐに快復しますので、それまではどうか、出来るだけ城の中で…」
「大丈夫よ。今、外に用はない。あなたの看病があるもの」
ルシアの返事に、リューイは少しだけ固まると、何とも言えない顔をした後に項垂れるようにして頭を下げた。
「先生、どうします? 包帯を張り替えますか?」
医師はルシアの言葉に、うーん、と顎に手を当てる。
「その前に着替えですな」
「着替え……」
再び顔を紅くしたルシアは、ハハと笑う。
「じゃっ、じゃあしばらく私、外にいますね」
ドキドキと高鳴る胸を抑えようとしながら、視線を落としたルシアはリューイの足元が目に入ってハッと息を飲んだ。
色も編み方も……
同じ──────
「ミサン…ガ………」
そう呟きながら顔を上げたルシアは、興奮気味に再びリューイの元に近づく。
「リューイ…あ、足に付けているミサンガは…いつからっ…どこで…」
わずかに目を見開いたリューイは返事をしない。
何か…ある────
ルシアもその場に立ち尽くしたまま、目を細めた。
「姫、では…リューイを着替えさせますので。すみませんがしばらく部屋の外で」
「………え、ぇ」
医師に阻まれて、ルシアは扉の方に振り返って、ドアの外へと出た。