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† 姫と剣 †
第4章 約束
「いつからついてるのか……何のミサンガなのか……全然分からないけど。外してはいけないような気がして…」
「そう……ですか」
「リューイ、何か知っているんじゃ……。ただの偶然じゃないわよね?」
ルシアはゆっくりと、リューイの額に布を乗せながら、リューイの表情を読むように見つめる。
「………いえ、何も」
「……………」
「このミサンガは……護衛の騎士に選ばれた時に、母からもらったものです」
リューイの返答にルシアはふぅ、と息を吐いた。
「何故そんな嘘をつくの?」
「……………」
糸の解れ具合や色の落ち具合からして、もう長く付けているのが分かる。
それでも、リューイは表情を変えない。
「ミサンガなど……街へ行けばいくらでも売っています」
「そう…だけど……」
まだ何か言いたげなルシアを、リューイが「姫」と呼んで遮る。
「申し訳ありませんが……しばらく眠ります」
「…………」
「早く治して、あなたを守らなくては」
リューイはそう言って、ゆっくりと目を瞑る。
ルシアは「分かったわ」と返事をして、そのまま眠るリューイの姿をしばらくじっと見つめていた。