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† 姫と剣 †
第4章 約束

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ローハーグから遥か南の国、アノア王国にて。



月に雲がかかり、青白く光る。



窓からその月明かりを見るロイは、しばらくその光を浴びた後、目を瞑って、肩に巻かれた包帯に手を添えた。



幸い、リューイから受けた傷はそこまで深くなかった。


いや、あの腕の立つ騎士がしくじるはずがない。


情けをかけられたと考えるのが妥当で、フッと自嘲気味に笑ったロイは、ノックの音に返事をして扉に顔を向ける。




「ロイ様……お連れいたしました」




使いの背後から、踊り子のように肌を露出させた女が2人現れる。


ロイはその2人の女をその青い瞳でじっと見つめた。


どちらも亜麻色の長い髪に、女性らしい曲線美を見せる。


立ち上がったロイは、一方の女の髪を一束掬った。





「やはり黄金色の髪の娘はなかなかおらず……もちろん、緑眼の娘も……。なるべく似た女を探したのですが」


「……分かっている。あのお方は……唯一無二だからな」




そう言いながら、ロイはベッドへと腰を掛けた。




「どちらの女に……」



「選ぶつもりはない。2人とも、こちらへ」




やや俯き加減であった2人の女は、ハッとして、ゆっくりとロイ王子の元に近付く。




「では……」



女を引き連れてきた男が部屋から去ると、ロイはベッドの背にもたれてその長い黒髪をかき上げた。







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