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ハニードロップ
第2章 本物

「食べてみたら、奈子ちゃんみたいに優しくて甘くて爽やかな飴でさ。飴も奈子ちゃんも忘れられなくなっちゃった」

 バーで飴を渡した時、固まっていたのはそういうことなのかな。

「俺さ、必死だった。仕事頑張ったらまた奈子ちゃんに会えるかなって。同時に奈子ちゃんも探したかったけど、会社に問い合わせるわけにもいかないし、今なら他の手段思い付くけど若かったし。どんどん忘れていくんだ。顔も、声も。諦めかけた時、尚のバーで奈子ちゃんがあの飴くれた。一気に思い出した。顔、声、香り。この子だって、俺、奇跡だって思った」

 何だか不思議だった。私は当然三木村博也を知っていたけれど、そんな有名な人に、ずっと覚えられていたなんて。

「奈子ちゃんはほんと、俺の想像以上の人だった。可愛くて、優しくて、温かくて……」
「まだ、全然知らないのに……」

 ぎゅうっとお腹に回された手の力が強くなる。肩に、首筋に、ほっぺたに、唇が落とされる。

「幻滅するかも。ほんとはちょっとお口悪いし、だらしないし、仕事中は髪もボサボサだし……」
「どんな奈子ちゃんも可愛いと思う自信しかないなぁ」
「ほんとに……?」
「うん。あ、一個びっくりしたことはあったかな」
「え?」
「めっちゃくちゃえっちだった!!」
「っ、三木村さんのせいなのに……。嫌になった?」
「そんなわけないじゃん!!!最高!!!」

 その後お風呂でまたえっちしちゃって、のぼせてへろへろになったのは言うまでもない。
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