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ハニードロップ
第4章 出会う
「で?他に言うことは?」
「ありません……」

 何を隠そう北山奈子、ただいま上司に絶賛叱られ中であります。今開発している新作の研究過程のデータを少しだけ、ほんの1日分だけ、消してしまったのである。一番落ち込んでるの私なんですけどね……。

「今日はデータ復旧するまで帰んなよ」
「分かってます」
「ま、終わったら飲みに連れてってやるから」
「結構です」

 トボトボと歩き出す。ああ、今日はPCに向き合って終わりかぁ……。

***

「なんかげっそりしてね?」

 ようやくデータを復旧し、退勤。芦屋くんのバーに寄って開口一番に言われたのがこれである。

「冷たいなぁ。今日は本当に疲れたのに……」
「ふーん。何飲む?」
「甘いのがいいです……」

 テーブルにぐったりと項垂れる。今日は珍しく奥のテーブル席に先客がいるようだ。なかなか騒がしい。男の人の声と、若い女の子の声と……

「……あ」

 目が合った。プライベート仕様じゃない三木村さんと。

「えっ、うそ、なんで?」
「先輩に誘われたんだと」
「なんでこんな場末のバーに?」
「場末言うな。若い女の声うるせぇ。いい加減追い出すかな」
「いや、お客さんにそれはまずいんじゃない?」

 芦屋くんとこそこそ話しながら、チラチラ様子をうかがう。当然三木村さんはプライベート仕様じゃないのでもうこっちを見ていないし、「奈子ちゃん!」と走ってきて頬にぶちゅーっとキスしたりもしない。

「あれ、女の子が一人でいるじゃん」

 一番奥に座っていた男の人が私を見つけてそう言った。とっても有名な俳優さんだ。……名前何だっけ。有名じゃないのかよと自分自身にツッコむ。

「一人で飲んでないでこっち来たら?」

 全員の目がこっちに向く。テレビで見た顔もチラホラ。三木村さんの様子を見ると、少し焦ったように立ち上がった。

「いや、あの子は、」
「何、博也知り合い?もしかして博也に食われた女の子?」

 死ぬほど食われてます。ちなみに昨日も気絶するまで。

「いいじゃん。こっちおいでよ」
「いや、ほんとに、」
「うるせぇ。次の映画降ろすぞ」

 脅しじゃん。最低。三木村さんが何か言い返そうとしたところで立ち上がる。三木村さんの仕事に影響を及ぼすくらいなら、別に一緒に飲むくらい。
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