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ハニードロップ
第5章 人生のゴール
「博也くん、めちゃくちゃ優しいね……」
「だって奈子ちゃんのわがまま可愛いじゃん……。外でデートしたり出来ないし、嫌な思いもさせることあるかもしれないからさ、せめて一緒にいられる時は奈子ちゃんの好きなことしたいの」
「そんなのいいのに……」
「違うよ、奈子ちゃん。これはね、もっともっと奈子ちゃんに好きになってほしいっていう、俺のわがまま。だから、奈子ちゃんは思う存分俺に甘えて?俺はそれが嬉しいんだから」
そう言えば、私がわがまま言う度、博也くんはとっても嬉しそうな顔をしている……。博也くんのめちゃくちゃ甘くてちょっと重い愛情を感じて、とっても幸せな気持ちになる。
「私も博也くんのこと、いっぱい幸せにできるように頑張るね」
「もう充分だけど、奈子ちゃんの気持ちが嬉しいからありがたく受け取る。一緒に幸せになろ?」
一緒に幸せになる方法。それはずっと、一緒にいること。刹那的な時間じゃない。だってお互い仕事しないと生きていけないし、お互い仕事大好きだし、たまには友達と遊びたいし、博也くんだってこの前みたいに付き合いでクソみたいな飲み会に行かないといけないことだってあるだろう。
そうじゃなくて、もっともっと長い時間。博也くんの仕事柄、まだあまり現実味はないけど。私の人生のゴールが決まった気がする。
「死ぬ時は博也くんに看取ってもらいたいなぁ」
「分かった。絶対そばにいる」
少しだけ真剣な顔になった博也くんに抱きついた。先に死にたい。博也くんが死ぬところ見るのやだもん。博也くんにその苦しみを背負わせることになるけど、それを覚悟した上での返事だと思った。