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ハニードロップ
第5章 人生のゴール
博也くんはいつ眠っているのだろうかと思うくらい、寝顔を見たことがない。今朝もいつも起きる時間に起こしてくれて、いってらっしゃいのキスをして仕事に送り出してくれた。
「おはようございます……」
「何だよ、めちゃくちゃ眠そうだな」
会社の給湯室で、直属の上司である望月さんに言われて苦笑いする。まさか超有名人の三木村博也が彼氏で夜中までセックスしてました〜なんて言えるわけもない。
望月さんは私の隣で手際よくコーヒーを淹れ出した。大抵のおじさんは若い女の子の社員にコーヒー淹れてなんて頼むのに、自分でやる望月さん。そんなところが素敵だなぁなんて思ってた時期もあった。
「俺も寝不足」
「ゲームし過ぎじゃないですか」
「仕方ねーじゃん。1週間前に昔やってたやつのリメイク版が出たんだよ」
相変わらずゲーマーだな。寝ずにゲームをやって仕事に行くなんてこともよくあった。体持つのかなぁなんて心配してたけど、平気で仕事してたからタフなんだと思う。
「何、心配してくれてんの」
ニヤリと笑う。この人ドSだからな。
「そりゃあ、業務に支障が出ると困りますので」
「それだけ?」
「はい」
「また寝込んだらご飯作りに来てくれる?」
一歩近付く距離。見上げると、すぐそこに顔があった。誰かに見られたら誤解されるからやめてほしい。
「そんなことするわけないじゃないですか。彼女でもないのに」
「じゃあ、彼女に戻ってよ」
言うのを忘れていたが、この人実は私の元カレである。
「無理です」
「なんで」
「別れた恋人とヨリ戻しても上手く行くと思えないから」
「じゃあ、結婚すればいいじゃん」
あの時言ってくれなかったことを、こうやって軽く言われると悔しさを通り越して虚しくなってくる。
「残念ながらもう、私の人生のゴールは決まっているので」
博也くんの隣で死ぬって決めたんだから。
「おはようございます……」
「何だよ、めちゃくちゃ眠そうだな」
会社の給湯室で、直属の上司である望月さんに言われて苦笑いする。まさか超有名人の三木村博也が彼氏で夜中までセックスしてました〜なんて言えるわけもない。
望月さんは私の隣で手際よくコーヒーを淹れ出した。大抵のおじさんは若い女の子の社員にコーヒー淹れてなんて頼むのに、自分でやる望月さん。そんなところが素敵だなぁなんて思ってた時期もあった。
「俺も寝不足」
「ゲームし過ぎじゃないですか」
「仕方ねーじゃん。1週間前に昔やってたやつのリメイク版が出たんだよ」
相変わらずゲーマーだな。寝ずにゲームをやって仕事に行くなんてこともよくあった。体持つのかなぁなんて心配してたけど、平気で仕事してたからタフなんだと思う。
「何、心配してくれてんの」
ニヤリと笑う。この人ドSだからな。
「そりゃあ、業務に支障が出ると困りますので」
「それだけ?」
「はい」
「また寝込んだらご飯作りに来てくれる?」
一歩近付く距離。見上げると、すぐそこに顔があった。誰かに見られたら誤解されるからやめてほしい。
「そんなことするわけないじゃないですか。彼女でもないのに」
「じゃあ、彼女に戻ってよ」
言うのを忘れていたが、この人実は私の元カレである。
「無理です」
「なんで」
「別れた恋人とヨリ戻しても上手く行くと思えないから」
「じゃあ、結婚すればいいじゃん」
あの時言ってくれなかったことを、こうやって軽く言われると悔しさを通り越して虚しくなってくる。
「残念ながらもう、私の人生のゴールは決まっているので」
博也くんの隣で死ぬって決めたんだから。