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ハニードロップ
第5章 人生のゴール
「奈子ちゃんおかえり〜。何飲む?」
「博也くんこそおかえり!えっとね、ピーチフィズ」
「尚、ピーチフィズお願い」
「先に言っとくけど、お触りは禁止だからな!」
「はいはい、わかってるって」

 仕事帰り、海外に行っていた博也くんと芦屋くんのお店で待ち合わせする。場末だから他にお客さんはいない。つまり、あのホテル以外で唯一恋人同士になれる場所。場末もいいとこあるな。

「仕事どうだったの?」
「めちゃくちゃ順調に終わった。早く奈子ちゃんに会いたくて俺すっげー頑張ったよ〜」
「お疲れ様。寂しかったから早く帰ってきてくれて嬉しい」
「俺の彼女天使〜!」

 博也くんが顔を手で覆った時、カランコロンとドアベルが鳴った。場末なのに……!博也くんはドアに背を向けているからバレないはず。急いで隠れないと……!

「あれ、お前いたの」

 聞き慣れた声であることに気付き、ドアに視線を向ける。そこにいたのは気の抜ける人物だった。

「何だ、吉村か……」
「三木村さん、こんばんは」
「どうもー」
「えっ、三木村って……」

 気を抜いたのも一瞬。吉村の後ろに立っている人に気付いて色んな意味で心臓が止まりそうになった。吉村、特級のKY……!!

「望月さん……」

 博也くんが私と望月さんを交互に見て無表情になった。いや、元カレだけど当然今は何もない。今日復縁したいと言われたばかりだけど。望月さんとは周りに内緒で付き合っていたので、吉村も知らないはずだ。吉村は何も悪くない、でも。気まずい……!
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