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悪魔から愛されて
第20章 新しい世界


私は急いで身支度を整え、会社に向かう準備をした。



部長以上の管理職は、自動車通勤が許されていたため、今日は龍崎さんの車で行くことになった。


助手席に座り隣を見ると、スーツ姿の龍崎部長…
何故か恥ずかしく顔が赤くなる…





ただ…心にズキッと何か刺さる…

考えてはいけないこと…





…そうだ…運転席は…健斗じゃないんだ…





私は不安やいろいろな感情で押し潰されそうだった…
少しうつ向いていた私の頬に、優しい手が触れた…



「…恵美…大丈夫か?」
「…大丈夫です。心配しないでください…」


会社に到着すると、知っている顔に挨拶する。

「おはようございます。」
「…お…おはようございます。」

何故か私に驚き…丁寧に挨拶をする…



…これって…

…私を覚えてないんだ…

…本当に…みんなの記憶から…消えてしまったの…

…感じたことのない寂しさと恐怖…



私は思わず、前を歩く龍崎さんのスーツの袖を掴んだ。
怯えている私の顔を覗き込み、片手を私の頬にあてた。



「大丈夫…心配するな…」
「…はい。」



営業部に着くとマネージャーが近づいて来た…
「おはようございます。鈴木さん、お待ちしておりました。これから朝のミーティングでみんなにご紹介しますね。」

マネージャーは微笑んで私に会釈した。

…昨日まで、一緒に仕事していた人たちが、私を知らない…




複雑な気持ち…




そして…一番恐いのは…




…健斗…




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