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悪魔から愛されて
第20章 新しい世界
私はいたたまれず、事務所を出た。
少し落ち着こうと思い、自動販売機の缶コーヒーを買った。
近くに用意されている椅子に座り、息を大きく吐いた…
分かっていたはずなのに…
苦しい…
暫くすると誰かが販売機に来たようだ。
“ガタン”
缶コーヒーを買う音がした。
その音に振り返ると…
…健斗…
「鈴木さん…ですよね。高山と言います。よろしくお願いします。」
「…は…い…。こちらこそ…よろしくお願い…します。」
「顔色…悪い様ですが…大丈夫ですか?」
「大丈夫…です。」
私は慌てて立ち上がった。
急に目の前が暗くなり…倒れそうになる…
健斗は、慌てて私を支えた…
「…鈴木さん…危ない…座ってください。」
…健斗…この腕の中…
…もう私の場所じゃない…
「高山さん、ありがとうございます。もう大丈夫です。ちょっと目眩がしただけです。」
「あの…鈴木さん、僕とどこかで会ったことありますか?」
「…いえ…たぶん…お会いしたのは…初めてです。」
「ごめんなさい。変な事言ってしまって…では、僕は行きますね…」
健斗の後姿を見送った…
さようなら…
幸せになってね…
そのまま動けずに居た私の肩に、誰かが触れた…
「…龍崎部長…いつから居らしたのですか?」
「…辛いか…後悔しているようだな…」
「…いえ…後悔はしていません。少し寂しいだけです。」
龍崎部長は何も言わず、私の頭に優しく手を置いた。
「今日は僕も早く仕事が終わりそうだ…一緒に帰ろう…」
「…はい。」
後悔はしていない。
自分で決めたのだから。