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桃衣の天使
第2章 ピンクな面会
 「看護婦だけじゃ足りんだろう。明日から日替わりで女を送ってやるから好きに使うがいい。」
 「結構です!」
 
 蒼馬老と幸子ちゃんが帰ったのはそれから十分程してからだ。特に会話はなかったが幸子ちゃんが観ていた番組が終わるのを待っていたらそんな時間になったのだ。本当に孫が可愛くて仕方ないといった感じだ。俺も将来結婚出来たらあんな可愛い子供が出来るのだろうか。・・・駄目だ何度想像しても「喧嘩上等」と刺繍された涎掛けをした目付きの悪い赤ん坊しか浮かんでこない。バブーじゃなくてパラリラパラリラとか言いそうだな。赤ん坊ね。赤ん。あれ?何か大事な事を忘れてないか?昨日からの行動を思い出していき顔から血の気が引く。やばい!やばい!やばい!俺はナースコールを押す。
 「横川さん。どうされました?」
 「すいません。ちとじゃなかった。高樹さん居ますか?」
 「今向かわせます。少々お待ち下さい。」
 通話が切れて一分もしない内にピンクのミニワンピースの千歳が入ってきた。遠目にも顔色が悪いのが判ったのだろう。早足で近づき脈をとる。
 「少し早めですが正常ですね。何があったんですか?」
 説明しようにも少しパニックになって言葉が出てこない。そんな俺の頭を千歳は胸に抱き寄せる。顔に当たる柔らかい乳房の感触と香ってくるボディーソープの香りに落ち着きを取り戻す。
 「当麻様。どうされました?」
 「ごめん。俺皆を妊娠させたかもしれない。」
 そうなのだ。昨日今日と千歳、隆美、明世と三人とコンドームなしで中出ししてしまった。もしかしたら来年の5月にはパパになってるかもしれない。生活力のない中学生に子供が育てられるのだろうか?
 悲壮な覚悟での告白をキョトンと聞いていた千歳がコロコロと笑いだす。
 「何が可笑しいのさ?」
 人生最大の過ちに震えながらの告白を笑われて気持ちがいいわけがない。不機嫌さを隠さない俺の声に千歳は慌てて頭を下げる。
 「失礼しました。当麻様はピルってご存知ですか?」
 ぴる?どうやら顔に大きく「知りません」と書いてあったようだ。返事を待たずに説明が始まる。
 「ピルというのは女性が妊娠しにくくなる薬です。私達はこれを飲んでいますから妊娠する確率はかなり低いです。一枚だけ買った宝くじが一等をだったなんて率より低いかもしれませんよ。」
 
  




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