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不倫研究サークル
第11章 リケジョ
新宿の東口にある雑居ビルにある居酒屋が、合コンの場所だった。
4月に人妻たちと合コンしたお店と同様に、ビルの外見からは想像できない程オシャレな居酒屋で、狭い個室に男女八人が詰め込まれた。

とにかく、東京の飲食店は狭い。この窮屈さが僕は苦手だった。

相手の女子大生は、僕のイメージしているリケジョとはかけ離れた容姿で、どの子も、それなりに可愛くお洒落な感じだ。全員が東京近郊育ちという事だった。

(イカン、イカン、勘違いするな)と自分に言い聞かせる。

小梢や陽菜が基準になっているが、彼女たちが異次元なだけであって、今集まっている女の子も僕には高嶺の花に値する。

自分の感覚がマヒしかけている事に驚く。

オーダーした飲み物が届くと、乾杯の音頭を田沼がとる。

カチャン、カチャンとあちこちでグラスがぶつかる音がした。

僕以外は、全員が生ビールを注文していた。

「森岡君、ママが言ってた通り、真面目そうだね。 お酒は飲まないの?」

話しかけてきたのは、以前コンパで一緒だった今村の娘、今村心結《いまむらみゆう》だ。

「ええ、僕はお酒に弱いし、最初から飲んでると潰れてしまいそうで……」

心結は、母親同様に社交的なイメージで、四人の中では一番の美人だった。

「そうなんだ、過去に失敗した経験があるとか? 笑」


「じゃあさ、潰れたら私が介抱してあげるよ 笑」

横やりを入れてきたのは、石井佳澄《いしいかすみ》、クラスに一人はいる盛り上げ上手な元気な女の子といった感じだ。

直ぐに佳澄が会話の主導権を握る。

「森岡君ってさ、年上の人とか恋愛対象になる?」

親子ほど年の離れた佳那と絶賛不倫中なのだから、多少年上でも平気だ。

「ええ、年上でも年下でも、重要なのはその人の人柄ですから」
と、模範的な回答をしてしまう。

「そうなんだ、長谷田に私の先輩がいるんだけど、どうかな?」

「何年生なんですか?」

「三年生、可愛いよ~」


これは、何かのフラグが立ったのだろうか……?




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