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Devil Temptation
第18章 天使とモナリザ
「京介さん、こっちですよ」

俺はその声の方を見ると杏が笑顔で手を振っていた。俺はルーブル美術館の広さに驚き、モナリザは意外と小さいということを知った。ルーブルは凄く感動的だった。数時間では時間が足りず、次に来る時はルーブルの為だけにフランスに来たいと思った。
ここでもまた杏は別の魅力を発揮してた。「お前は何者だ?」と言いたくなるくらい美術に対しての知識は凄いものだった。昨夜のメイド服を着た杏とは別人のようだ。朝食の時にトーストを食べながら、「昨夜のメイドごっこは楽しかったですね。またやりましょうね」満面の笑みを浮かべ、普通に話をする杏。今、中世の絵画を見ながら、柔かに解説をする杏…違いすぎる。ただ言えるのは俺にとって、どれも最高の女性だと言う事だった。
次はオーストラリア、海外営業の最終地だ。オーストラリアに向かう飛行機の中で、眠れずにいると、杏が話しかけてきた。

「オーストラリアの会社は日本人が経営する会社です」
「そうなんだ。日本に本社があるとか?」
「いえ、ないですね。ニュージーランドに支社があるみたいです」
「何か問題でもあるの?」

今回の海外営業で色々な会社が喜んで契約を承諾し、大量発注をしてくれたのは、杏のプレゼンも去ることながら、通常より3割以上安いというのが理由らしい。本来この会社はお金を儲けるためにスタートしたわけではないので、会社の利益は取引先に不審を与えない程度に下げる事にしていた。しかし、オーストラリアの会社は更に値下げを要求してきたというのだ。

「杏ちゃんはどうしようとしてるの?」
「値下げはいくらでもできますが、それでは他社との間に問題が生じます」

確かにその通りだ。

「もし今の条件で合意できなければ、諦めますか?」

杏は少し考えてから答えた。

「オセアニアにも販売ルートは欲しいのですが…今の条件を呑んでもらえないのなら、諦めるしかないですね」
「それでは、最後の手段として、一芝居打ちますか?それでダメなら諦めましょう」
「一芝居?」

杏がきょとんとした顔をしていた。


To be continued .........
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