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ご褒美のあとは
第3章 カードゲーム
「浴衣、着れる?」

動揺していたことも忘れて見惚れていると、ドアを軽くノックして豊先輩が入ってきた。

浴衣で体を隠し、それでもほっとしたのは一瞬だけ。
ぎょっとして、一気に熱くなった顔を慌てて背けた。

豊先輩は何も着ていなくて、足の間では、黒い毛から飛び出したものが天井に向かってそびえていたのだ。

み、み、みっ
見ちゃった……っっ

「っとに、デリカシーないな」

続いて現れた充輝先輩が豊先輩を蹴飛ばし、慰めるように私の頭をくしゃりと撫でてくれる。それから、浴衣一式をチェックし始めた。

「腰巻は?コーリンベルトもないよ」

「何それ?おっちゃんは、浴衣と帯と下着セットがあったら大丈夫だって言ってたぞ」

充輝先輩は呆れたように溜め息をつこうとして、何かに気づいたように瞬きを繰り返した。

「なくても、いいか」

まんざらでもなさそうににやりと笑いかけられても、腰巻もこーりんべるとも知らない私は頷くことしかできない。

…頷いて、後で恥ずかしい思いをするなんて、この時の私は想像できなかった。
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