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体育倉庫のハイエナ
第6章 6
「よかったじゃねえか…」
 
 マサムネが、レンヤの後に続けた。

「初体験でマ×コを舐めてもらえるなんて、スケベなお前にしてみりゃ、最高に幸せだろう?」

 と、そこでマサムネが、今更ながらの質問を、奈津子にした。

「そう言えば、何でお前は“マ×コ”って言葉を知ってるんだよ?…さっきから俺たちが“マ×コ”って言っても、『マ×コって何ですか?』とは聞かないよな?…てことは、お前は“マ×コ”が何なのか、知ってるってことだよな?…なあ、お前は何で知ってるんだ?」

「な、何でって…聞かれ……ても……そ、そんなの、わ、分かり…ま…せん…」

 そもそもそんな質問に答えること自体、やはり相当な屈辱なんだろう――奈津子は掠れた声で、そう答えた。

 途中で何度も言葉を途切れさせたのは、きっと喘ぎ声が交らないよう、慎重に発声したからだろう。

 勃起した乳首への二人の愛撫は、弛むことなく続いている。

 そしてマサムネは奈津子の返答を聞いて、ここぞとばかりに、また奈津子を罵った。

「本当にお前はスケベだな…乳首はすぐに勃起させるわ、“マ×コ”なんて恥ずかしい言葉は知ってるわ…」

 本当なら、今すぐまた泣き出したいところなんじゃないのか――と、僕は思う。

 でもそれが出来ないのは、唇を震わせることしか出来ないのは、やはり二人が変わらず乳首への愛撫を続けているからだ。

 マサムネが、奈津子にとっては屈辱的なことこの上ないだろう会話を、さらに続ける。

 なおも呆れたような口ぶりで、奈津子を窘めた。

「あのな、スケベ女…お前のために教えといてやるけど、大抵の女は、“マ×コ”なんて言葉は使わねえんだぞ?…“アソコ”とか、そんな感じで、暈して言うもんなんだ…」

 当然のことながら、そこで奈津子は至って真っ当な反論を――本来なら胸を張って出来るはずの真っ当な反論を――やはり何度も言葉を途切れさせつつ、マサムネにした。

「わ、私は…使って、ません……ふ、ふ、二人が……言ってるだ……け…です……」

 するとレンヤが、そこで口を開いた。

「じゃあ今日は、奈津子ちゃんも”オマ×コ”って、言ってみようか?」

 あたかもピクニックか何かに誘うような、能天気な口ぶりだった。
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