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体育倉庫のハイエナ
第6章 6
然る間に、レンヤは長いこと乳首をくすぐっていた、中指を止めた。

マサムネもレンヤに倣って、乳首を転がしていた指を止めて、愛撫を中断する。

こうして長いこと続いていた乳首の愛撫から解放された奈津子は、その呼吸に若干の余裕を取り戻したらしく、やや語気を強めて、二人に拒否の意思を示した。

「いやですっ!……そ、そんな恥ずかしい言葉、絶対に言えません……」

するとレンヤが空かさず、奈津子に言った。

「もしも“オマ×コ”って言えたら、ご褒美に乳首にキスして、あげる…」

もちろんのこと、それで奈津子がレンヤになびく訳もない。すぐにレンヤに返した。

「そんなこと、して欲しくありませんっ!……」

 しかし、そこでマサムネが今一度、例の脅迫を奈津子にした。

「俺たちに逆らっていいのか?……明日の朝、教室のドアを開けたら、黒板にこう書いてあるぞ?……『芹沢奈津子は、すぐに乳首を勃起させる、スケベな女です』って……」

 これに対しては、奈津子は返す言葉を、見付けられないみたいだった。

 奈津子は、押し黙ってしまった。

 そんな奈津子を、マサムネが急かす。

「ほら、さっさと言えよッ!…たかが“オマ×コ”って言うだけだろ?…スケベ女のくせに、一丁前に恥ずかしがってるんじゃねえよ…」

 奈津子はそれからもしばらく、沈黙していた。どうやら声は出さずに、泣いていたようだった。
 
 時に、奈津子が沈黙している間、僕はマサムネと同じことを思っていた。

(奈津子、さっさと言いなよ…ボクも見たいよ、奈津子が“オマ×コ”って言うところ…奈津子、言ってみて…その可愛い唇を動かして、“オマ×コ”って言ってみて…)

 そんな僕の願いが、奈津子に届いた訳じゃ決してないだろう――でも、やがて奈津子が、噛みしめていた唇を、緩めた。

 それから三度、丁寧な深呼吸をしてから、猥褻な単語の発声に、挑んだ。
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