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体育倉庫のハイエナ
第10章 10
 程なくして、僕の耳に聞こえてきた音は――

ヌチョオォォォ…ヌチュゥゥゥッ、ヌチュヌチャッ!…ヌチュゥゥゥ…

 ――という、粘着の響きを湛えた、品の欠けたものだった。

 子供の頃、ちょっとした不注意でズボンのポケットに飴玉を入れたまま、何日も放置してしまったことが、何度かあった。

 ある日に迂闊にポケットに手を突っ込んだら、溶けて包装紙から漏れた飴玉は、僕の指に絡み付いてきたけど、今の音はその時に僕の指と飴玉が立てた音と、よく似ていた。

 そんな品のない音は、今の奈津子の秘部の上で、のたうち回っているレンヤの舌がどのようなものかを如実に物語っていて、奈津子はといえばただただ掠れた溜息を漏らし続けていた。

 やがてマサムネが、奈津子に言った。

「ほら、『チ×ポ』が止まってるぞ…?続けろよ…」  

 マサムネに促されて、奈津子が改めて、連呼を始める。

「チ、チ×ポぉぉ…チ、チ×ポぉぉ…あ、あぁぁ…チ、チ、チ×ポぉ……あぁ…」

 その掠れた吐息にのせた『チ×ポ』の、その合間合間には、明らかに心地良さげな溜息が織り込まれたけど、それもここに至っては不思議なことではないだろう。
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