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体育倉庫のハイエナ
第11章 11
 やがてレンヤが、そのキスをまた、束の間休めた。

 奈津子の顔立ちの、その隅々にまで視線を走らせた後、レンヤは奈津子の瞳を見つめて、四度目の『可愛い』を囁いた。

「奈津子ちゃん、可愛いね…」 

 こういう時に、レンヤの類い稀なる美貌が、その恐ろしい魔力を発揮する。

 今、『可愛いね』と囁かれた奈津子は、それまでの三度の『可愛い』と極上のキス、加えて穏やかな波に晒すようなバストへの愛撫で“とろん”とさせていた瞳を、さらに、“とろ~ん”とさせて、レンヤの顔を見つめ返す。

 僕が思うに、もしかしたら今の奈津子は、この行為が紛れもないレイプであることを、またここに至るまでに『オマ×コ』や『チ×ポ』と何度も連呼させられたり、愛液塗れの秘部を罵倒されたりしたことを、忘れてしまったのかも知れない。

 あるいは、例えここまでが屈辱の連続であったとしても、この先には――例えばこの高校きっての美男子であるレンヤと、恋人の関係になれるような――そんなバラ色の未来が待っていると、そんな期待を淡くも抱いているのかも知れない。

 その淡い期待を、奈津子が空しくも膨らませてしまうような言葉を、レンヤが続ける。


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