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セレナーデ
第3章 3 優樹
 小学校に上がるころには和夫があれこれ世話を焼かれるくらいで、優樹のことも実の弟のように面倒を見ていた。
もっと年相応に遊んでもいいと言っても責任の強さからかペンションを優先する。

 大学に入り恋人もでき、父親としては気に入らないがホッとすることもある。
ただやはりペンション優先が災いするのか長続きしない。
和奏が恋人と別れるたびに和夫はイケナイと思いつつ嬉しくなってしまう。
この繰り返しの感情をたった二年間でもう何度も味わった。
和奏の幸せがどこにあり、どんな幸せを望んでいるのか和夫には見えてこなかった。
ただ誰にも、何にも気を遣わず和奏自身の人生を歩んでほしいと願うばかりだ。
そして自分に小夜子がいるように、直樹に緋紗がいるように彼女にも愛する人が現れるよう祈っていた。
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