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セレナーデ
第3章 3 優樹
お昼になると和夫が優樹を「昼飯にしよう」と呼びに来た。
緋紗は自宅に戻り、家で直樹と食事をするようだ。
「じゃ、オーナーまた午後から来ます」
「うん。直樹によろしく」
「午後一緒に来ると思いますよ」
「そうか」
「優樹。しっかりね」
緋紗は明るく笑いながら手を振った。
「うん」
優樹の返事に緋紗は「うん、じゃなくて『はい』ねー」 と、大きな声で言いながら去って行った。
「はーい」
返事をする優樹を優しく和夫は見つめている。
(本当に優樹がここで働いてくれたらなあ)
さっきの優樹の言葉が思いがけずに嬉しく思ってしまったが、変なプレッシャーを与えてはいけないと気を取り直した。
和夫は優樹が心優しく、人からの頼みを断ることができないのを知っていた。
子供のころから反抗することや我を通すところを見たことがなかった。
直樹も緋紗も彼の自由な意志を尊重しているようで、それが今の性格を作っているのだろうか。
しかし好きなことをしろと言っているのに、和奏はこのペンションを継ぐと子供のころから決めていたことを思うとなんとなく心配してしまう。
子供たちには好きな道を自由に選んでほしいと望む和夫にとって、親のことを気遣っていることが心苦しく感じるのだった。
(和奏も一人娘の責任感からとかじゃなかったらいいんだけどな)
早くに母親を亡くした和奏は同年代の子供たちに比べ、はるかにしっかりしている。
緋紗は自宅に戻り、家で直樹と食事をするようだ。
「じゃ、オーナーまた午後から来ます」
「うん。直樹によろしく」
「午後一緒に来ると思いますよ」
「そうか」
「優樹。しっかりね」
緋紗は明るく笑いながら手を振った。
「うん」
優樹の返事に緋紗は「うん、じゃなくて『はい』ねー」 と、大きな声で言いながら去って行った。
「はーい」
返事をする優樹を優しく和夫は見つめている。
(本当に優樹がここで働いてくれたらなあ)
さっきの優樹の言葉が思いがけずに嬉しく思ってしまったが、変なプレッシャーを与えてはいけないと気を取り直した。
和夫は優樹が心優しく、人からの頼みを断ることができないのを知っていた。
子供のころから反抗することや我を通すところを見たことがなかった。
直樹も緋紗も彼の自由な意志を尊重しているようで、それが今の性格を作っているのだろうか。
しかし好きなことをしろと言っているのに、和奏はこのペンションを継ぐと子供のころから決めていたことを思うとなんとなく心配してしまう。
子供たちには好きな道を自由に選んでほしいと望む和夫にとって、親のことを気遣っていることが心苦しく感じるのだった。
(和奏も一人娘の責任感からとかじゃなかったらいいんだけどな)
早くに母親を亡くした和奏は同年代の子供たちに比べ、はるかにしっかりしている。