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セレナーデ
第7章 7 告白
 専門学校に入学した優樹は制服のスーツ姿がよく似合い、いきなり大人びた。
気が付けば直樹の身長を越している。
また周囲に同じ目的を持った生徒が多いのだろう触発され刺激され、より成熟しているように見えた。

「お父さんにますます似てきたわね。眼鏡かけたらきっとそっくりよ」
「お母さんにはどこか似てるとこあるのかな」
「そうねえ。あまり似てないわね。でもお父さんに似てる方が格好いいわよ」
 緋紗が嬉しそうに言うのを聞いている直樹もまんざらでもないようだ。
少し前の優樹なら寂しさを感じるような母の発言だが今は余裕がある。

「いつまでも仲良いね」
 優樹が笑いながら言うので緋紗はさっと顔を赤らめた。
直樹が「お母さんをからかうなよ」と優しくフォローする。

「そうだ。今日ペンション休みなんだけど和夫さん検査入院でいないのよ。和奏ちゃん一人だから優樹、ボディーガードで泊まってやってくれない?」
 緋紗が思い出したように言う。
「そうだな。もう大人だっていっても女の子だしな」
「いいよ。行ってくるよ。軽トラ貸して」
「軽トラでいいのか」
「うん」
「おかず作るから持って行って一緒に食べて」
「ん。じゃ支度して適当に行くよ」
「お願いね。和奏ちゃんには連絡しておくから」

 優樹はチャンスだと思った。
両親に気づかれないように平静を装って支度をする。
この一年間じっと和奏への告白のチャンスをうかがってきたのだ。
こっそりと用意しておいた小道具をポケットに忍ばせてバッグに着替えを詰めた。
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