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セレナーデ
第7章 7 告白
「俺、和奏ねーちゃんが好きだ」
 優樹のまっすぐな力強い告白に和奏はたじろいだ。
和奏の部屋でたわいもない会話を交わしていると突然、優樹が告白してきた。

「優樹……。いきなりなに。熱でもあるの?」
「本気だよ。今まで子供だったから気が付かなかった。俺が好きなのは、ねーちゃ……和奏だ」
「そんなこと言われてもさ。あんたを男としてみたことなんか一回もないよ……」
 和奏はベッドカバーの花模様の赤い淵を目でなぞりながらため息をついて俯いた。

「何人か付き合ったけどいつも熱くはなれなかった。でも和奏のこと考えたときすごく熱くなったんだ。きっとお父さんにお母さんがいるように、俺には和奏だと思う」
 黙って複雑な顔をしている和奏は目を泳がせている。

「私はあんまり恋愛に。男に熱くはなれないと思うんだ。ごめんね」
「やっぱりお父さんが好きなの?」
「え?」
 ギクッとして和奏は顔を上げて優樹を見る。

「知ってたんだ。ずっと和奏はお父さんが好きなんだろうなって」
「そう……」
「それでもいいよ。お父さんはお母さんのものだから和奏のものにはならないし」
 ハッキリとわかりきっていることを告げられて和奏は胸が痛んだ。
そして優樹は初めて和奏の涙を見た。
「ごめん」
 一言謝って優樹はポケットから銀縁の角ばった伊達眼鏡を取り出してかけた。
「俺がお父さんの代わりになるからさ。泣かないでくれよ」
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