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セレナーデ
第1章 1 和奏(わかな)
和奏は感傷に浸っている和夫の姿を見ながら(あーあ。また黄昏て……)と同情するような気持で眺めた。子供のころから父が自分に愛情を存分に注いでくれているのは理解していたが、こうやって母をしのぶ姿には切なくなる。
和奏自身も母のいない辛さを感じないわけではないが、どんどん薄れていく記憶にはその辛さも緩和されていった。
しかし和夫の辛さや寂しさは計り知れなかった。
また老いてきた父は昔の思い出をよく話すようになってきている。
まだまだ身体も頭のしっかりしている和夫だがもう六五歳になる。
いつまでもここペンション『セレナーデ』を経営してほしいと願いながらも、いつか自分がここを経営していくのだと強い意志を持っていた。
和奏自身も母のいない辛さを感じないわけではないが、どんどん薄れていく記憶にはその辛さも緩和されていった。
しかし和夫の辛さや寂しさは計り知れなかった。
また老いてきた父は昔の思い出をよく話すようになってきている。
まだまだ身体も頭のしっかりしている和夫だがもう六五歳になる。
いつまでもここペンション『セレナーデ』を経営してほしいと願いながらも、いつか自分がここを経営していくのだと強い意志を持っていた。