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イキ狂う敏腕社長秘書
第4章 【甘い蜜と策略】
両手で自分の頭をさする。
痛くて泣きそう。
でもお互い目が合ってプッと吹き出してしまう。
「一ノ瀬さん笑い過ぎ」
本当自分がマヌケで笑けてくるよ。
さする手をごく自然に掴まれて顔を上げた。
数秒前まで笑っていたはずの瞳は再び真っ直ぐ私を捕らえていて動けなくなる。
あ………ヤバ……この距離はヤバいかも。
言葉がなくても空気で伝わる熱量。
そんな瞳で見られたら嫌でも気づいちゃうよ。
身体が動く……私も一ノ瀬さんも。
不思議な感覚だった。
こんなドラマにしかないような展開、実際は有り得ないシチュエーション。
普通の人なら数秒で終わる一瞬が何故か焦れったくて……でも全然嫌じゃなくて。
むしろ待ち構えていたというか。
何の躊躇いもなく重なる唇は私からなのか……それとも一ノ瀬さんからなのか曖昧なキス。
触れた瞬間次もあるな…と確信した。
ハッと我に返ったのか唇を離してきた一ノ瀬さん。
「ごめん…!今の真田さん可愛過ぎて、つい……いや、つい…とかダメだよね、急にごめん、嫌な思いさせて」
唇の感触が心地良かった。
だから………
目の前にあるネクタイを自分の方へ引き寄せてしまうの。
「嫌じゃないよ………強いて言うなら、私はこっちのアングルかな」と最初とは違う顔の向きで今度は私から唇を重ねた。
とんだビッチだね、私。
一ノ瀬さんの言う、つい…ってやつが私にもあった。
便利な言葉ね。
つい……キスしてしまう仲にいつの間にかなっちゃってた。
やっぱり煽ってしまってキスしながら抱き締めてきた。
こんな狭いスペースで、死角だからと気を許してしまったのかも知れない。
唇が離れても互いの目がまだ欲しいって言ってる。
もう少し煽ってみようかな。
「……そんなんじゃ足りない」
近いけどネクタイの結び目を掴んで再び引き寄せる。
チュッ…とわざとらしく音を立てて舌を絡ませていく。
キスだけで勃起させるの楽しくなってきた。
でもまだすぐには与えないの。
この緩くてもどかしい時間をたくさん共有したい。
ドキドキをもっと感じてくれたら楽しいよね。
程よくアメとムチを。