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イキ狂う敏腕社長秘書
第11章 【静かに狂い咲くように】
密室でもお構いなしにキャピキャピ話す彼女に私は懐かしさを噛み締めていた。
別け隔てなく付き合ってくれる貴重な人材だから。
「良いね、昔のメンバーで行きたいかも」
当時私を教育してくれていた人や優しかった先輩たち。
懐かしい名前を挙げてくれて思わず微笑んだ。
エレベーターを降りて総務課へ足を運ぶ。
課長とは話すことなくここで別れた。
私が来たことでザワつく総務課。
やっぱり場違いだったかな。
つい懐かしくて声掛けちゃったけど今更激しく後悔。
アウェー感半端なし。
「本当助かった、ありがとう〜人手足んなくてさ」
「ううん、手が空いてる時は手伝わせて」
勿論、自分が座っていた席は誰かが座っている訳だけど総務課の雰囲気……私は好きだったな。
まぁ、1年も居なかったけど。
「わわっ、お疲れ様です!え、どうして?」
突然私たちに声を掛けてきたのはどこかから戻って来たのか総務課の男性社員。
凄く焦っていて挙動不審でテンパっていて視線を奪われてしまった。
あっ…!て気付いた時にはもう遅くて、棚の端で肘をぶつけていた。
「あっ!痛っ!すみません!」
同期の彼女がすかさず彼に言い寄る。
「何してんのよ村上くん、本当ドジなんだから」
肘を擦りながら豪快に笑う。
「大丈夫ですか?」
咄嗟に声を掛けるが同期の彼女が茶化す。
「どうせ美雨ちゃん居たからキョドってたんでしょ?」
え?私?
「ち、違いますから!あ、痛っ!」
「あっ!」
大きく手を振ってまた肘をぶつけてる。
あまりにも速いやり取りを目で追うだけで精一杯だったけど、言ったそばからぶつけてる鈍臭さが久しぶりにツボにハマった。
「アハハハ…!」
失礼だと思っても声が出た。
こんな人って居るんだって思ったら堪えきれなくなった。
すみません…と言いつつまた口元が緩む。
「めっちゃウケてくれてんじゃん、良かったね村上くん」
そう言う彼女とも目が合って吹き出してしまう。
本当ツボると私、止まんなくなる。
「私もそこ、よくぶつけてました」
「そういや美雨ちゃんもぶつけてたね?危ないじゃん!よし、直そう」