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イキ狂う敏腕社長秘書
第12章 【愛の循環】
おぼつかない足取りでタクシーを降りる。
バックから鍵を取り出すのにモタモタしていたら私を呼ぶ愛しい声。
その方向を見るとやっぱり来ていた彼の姿に悲しくもあり嬉しさもあった。
どうして来たの?
大人しく待ってられないの?
あれほど周りには気を付けてと言っていたのに。
心ではふとそう思うのに、戻って来て本当に良かったと胸を撫で下ろしている。
あなたを此処で独りにせずに済んだ。
自分の家なのにまるであなたの元へ帰って来たみたい。
抱き締めたい……抱き締められたい。
フワフワする気持ちが違う私を呼び起こす。
「あれ…?どうしたんですかぁ?フフン……社長さんじゃないですかぁ」
気分も良いので思いきり酔ってみようかな。
よろけてみせると慌てて支えてくれる。
この逞しい腕にいつも抱かれていたんだね。
「大丈夫か?飲み過ぎたか?」
「そんなに飲んでないよ……エヘヘ」
「誰にも何もされてないな?」
そこでピタッと動きが止まれば、シドロモドロになればどんな顔しますか?
「おい、されてないよな?美雨?」
真っ直ぐ見つめ合って瞳の奥を探り当ててくるあなたにちょっと意地悪。
「エヘヘ……たくさんお友達になってもらいました」
携帯をヒラヒラさせて連絡先交換したと思わせる。
「男じゃないよな?」
「え〜?何人か居ましたよ?みーんなで交換したので」
鍵穴にさえちゃんと刺せなくて代わりに社長が開けてくれた。
「ありがとう〜!あれ、なんで社長こんなところに居るんですか?迎えに〜?だから大丈夫ですって〜」
支えてもらわないと真っ直ぐ歩けないほどに酔いも回っていた。
酔ってるフリが本当になるなんて。
滑舌が悪くなるし笑い上戸にもなる。
「とにかく家に入るぞ」
エレベーターに乗ると私の方からキスしてる。
「やっと……2人きりになれた」
潤んだ瞳で見上げたら、酔いもあって良い感じに頬も赤らんで簡単に理性なんて崩せるの。
社長の負け、です。