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イキ狂う敏腕社長秘書
第12章 【愛の循環】
まさか相手方の会長までいらっしゃるとは聞いていなかった。
だから私を強く推したのか。
水無瀬さんでも特に問題なくこなせていたはずだけど。
きちんとお見送りした後。
少しふらつく私の肩を支える手。
「飲み過ぎ……たよな」
会長さんに気に入られたのは申し分無いけどかなりのザルな人だった。
今回は社長より私の方が飲んでるはず。
断れるわけもなく注がれた日本酒を胃に流し込んでしまっていた。
敬意も込めて社長のみぞおち辺りを軽くパンチする。
2人の時のくだけた感じだ。
「誰のせいですか……会長来るとか聞いてなかったんですけど」
「うん、言ったらその為に来るだろ?そうじゃなくて、俺の為に来て欲しかったから」
「本当そういうとこ……」
言いかけて思い留まる。
危ない………好きって言いかけた。
私を試しながら騙しながら良いとこ取りしてくんだもん。
モテる男のする事にいちいちザワつきたくない。
笑いシワ立てて優しく微笑むの。
「そういうとこ…何だよ」
「ズルいです」
「ハハッ」
タクシー乗り場で2人。
周りには誰も居ない。
ぬるい夜風が通り抜けていく。
「次のタクシーが来たら帰ります」
沈黙に飲み込まれてはいけないから先に言っておく。
会食が終われば帰るという条件で今日ここへ来た。
それは社長も快諾してくれたはずなのに。
優しく手を握るのやめてください。
ふらついてそっちにもたれそうになる。
「来るまでベンチで待とう」
社長の提案に素直に頷いた。
でも座ると私の頭を自分の肩に乗せるように引き寄せてきた。
少し酔いが回ってきてるのでタクシーが来るまで…と自分に言い聞かせそのままで目を閉じる。
髪を撫でる仕草も時折肩も擦ってくれる温かい手も、全部心地良くて嫌になる。
こんなところ誰かに見られたら…と思うけど重い瞼は開かずフワッと香る社長の甘い匂いに酔いしれていた。
ハッとした時にはすでに20分ほど経っていた。
少し休んでだいぶ楽になった。