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イキ狂う敏腕社長秘書
第3章 【覚醒する心と身体】





「会社では見せない部分です」




「どうして?2人きりの時は見せてくれて良いんだよ?」




「嫌です……こうなるのはこの家でだけ」




「じゃ、通わなきゃな…」




「そうですね……そうなるように仕向けちゃいました」




「打算的なことも正直に言う美雨が可愛くて仕方ないよ」




「そう言ってくださって嬉しいです」




事後のキスは甘くてほろ苦い。
じきに訪れる別れ際が切ないから。
髪を撫でられる度にもう帰っちゃうのかなって頭によぎる。




「でもたまには会社でも見せてよ、俺にもご褒美ちょうだい」




「嫌です……仕事中はしません」




「ちょっと抵抗するところも可愛いよ」




見透かされていることに不服を感じ拗ねてみる。




「珈琲淹れますね」




ベットから降りようとする私の手を離さない社長を見つめると再び唇を重ねてくるのだ。
まだ逃さないよ…というような口付け。




「ヤダ…っ」




顔を背けるのも許してくれない。
頬を包み込んで優しく見つめる瞳。




「どうした…?怒ってるのか…?」




いつからこんなに泣き虫になったのだろう。
泣いてるってバレたくなくて無理やり立ち上がる。
家着のロングシャツワンピースを羽織ったところで抱き寄せてくるのズルいです。




大人の余裕とか見せつけないで。
すぐ帰るくせに。
その場しのぎの優しさなんて与えないでよ。




「美雨、どうした…?言わないとわかんないだろ?何で泣くんだよ」




ギュッと抱き寄せてくれる社長の背中に手を回してしまう。




「一度だけ……我儘言って良いですか?」




「一度だけ?何度でも言えよ、受け止めてやるから」




これを言ってしまえば私たちの関係にヒビが入ってしまうかも知れない。
絶対言うもんかって腹を括ったつもりだったのに。
溢れ出す涙とともにこれほど脆く崩れていくなんて。




「帰んないで……」




口から零れた瞬間、身体を離してきた。
真っ直ぐ私を見る瞳に耐えきれず我に戻った。




「あ……ごめんなさい、違うくて…えっと」




「美雨、それが本音なんだな?」




ヤダ………怖い。




終わった…………














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