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夏の終わりに
第20章 安息 ③
おずおずと近づいてくる気配がして、バスタオルでふんわりとくるまれた。
抱き寄せられる。
その感触が心地よくて胸が一層苦しくなる。
「優しくしないで」
同情しているだけなら。
触れてくるのが、ただの欲望なら。
期待させないで。
きつく包み込む腕をほどこうとして、千里は何度ももがいた。
こんな時でさえ、浩人の優しさを勘違いしてしまいそうになる自分が情けなかった。
「……嫌だ」
掠れた声がして、バスタオル越しに回されている腕に力がこめられていく。
「……離して」
「…ごめん」
そう言って浩人は千里を一層強く抱きしめ、濡れた髪を優しく撫でた。
「…ごめん」
繰り返される謝罪が千里の涙を止めることはない。
「……お願い、離して」
浩人は深く息を吐き出し、小さく何度も首を振る。
「嫌だ。……ごめん」
怯えたように震える声に驚いて、千里は微かに息を飲み込んだ。
抱き寄せられる。
その感触が心地よくて胸が一層苦しくなる。
「優しくしないで」
同情しているだけなら。
触れてくるのが、ただの欲望なら。
期待させないで。
きつく包み込む腕をほどこうとして、千里は何度ももがいた。
こんな時でさえ、浩人の優しさを勘違いしてしまいそうになる自分が情けなかった。
「……嫌だ」
掠れた声がして、バスタオル越しに回されている腕に力がこめられていく。
「……離して」
「…ごめん」
そう言って浩人は千里を一層強く抱きしめ、濡れた髪を優しく撫でた。
「…ごめん」
繰り返される謝罪が千里の涙を止めることはない。
「……お願い、離して」
浩人は深く息を吐き出し、小さく何度も首を振る。
「嫌だ。……ごめん」
怯えたように震える声に驚いて、千里は微かに息を飲み込んだ。