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夏の終わりに
第23章 繋がる想い ③
欠伸を噛み殺したカズが、乱暴に浩人の肩に腕を回してくる。
むせかえる土の湿った匂いに、浩人は小さく咳込んだ。
「ゆ~っくり休んだか?」
含みのある言い方に、浩人は聞こえなかったふりをして畑に視線を落とした。
「これ…、カズ兄が?」
畝は全て元の形に盛り上げられ、作物もいくつかは植え直されている。今はまだ直した跡が目立ち、葉も萎れているが、なんとか体裁は整えてあった。
「美也子さん達には気づかれるだろうけど、鹿がやったとでも言っときゃ大丈夫だろ」
言いながら、カズはまた欠伸を噛み殺す。
「ありがと…う」
感謝しながらも、浩人は素直に喜べないでいた。
今度こそ千里を守ると決めたのに、早速仕事を奪われてしまったのだ。つくづく上手くいかない。
「ちぃ坊は、もう大丈夫そうか?」
生えている雑草を引っこ抜き、カズは堪え切れずに口を大きく開けた。悔しそうにくしゃりと顔を歪めて、強引に口を閉じようとする。
それでも欠伸は止まらず、大粒の涙が頬を流れ落ちた。
むせかえる土の湿った匂いに、浩人は小さく咳込んだ。
「ゆ~っくり休んだか?」
含みのある言い方に、浩人は聞こえなかったふりをして畑に視線を落とした。
「これ…、カズ兄が?」
畝は全て元の形に盛り上げられ、作物もいくつかは植え直されている。今はまだ直した跡が目立ち、葉も萎れているが、なんとか体裁は整えてあった。
「美也子さん達には気づかれるだろうけど、鹿がやったとでも言っときゃ大丈夫だろ」
言いながら、カズはまた欠伸を噛み殺す。
「ありがと…う」
感謝しながらも、浩人は素直に喜べないでいた。
今度こそ千里を守ると決めたのに、早速仕事を奪われてしまったのだ。つくづく上手くいかない。
「ちぃ坊は、もう大丈夫そうか?」
生えている雑草を引っこ抜き、カズは堪え切れずに口を大きく開けた。悔しそうにくしゃりと顔を歪めて、強引に口を閉じようとする。
それでも欠伸は止まらず、大粒の涙が頬を流れ落ちた。