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夏の終わりに
第11章 花火
浩人は一瞬だけギクリと体を強張らせた。抑えきれない想いに小さく呻いて、自分の腕の中にすっぽりと納まっている千里を強く抱きしめる。

「……ヒロ兄ちゃん?」

甘く柔らかい声に全身が震える。


もう、駄目だ……

限界、……かも。

振り返ったままの千里の顎に手を添えると、可愛らしい唇に食らいついた。

暗闇を鮮やかな光の花が照らす。

すぐ隣に人がいる。背後の離れたところにも人がいる。
周りは花火に夢中になっているが、いつか誰かに気づかれるだろう。
それでも、構わない。


抱きしめるだけ

初めはそのつもりだった。

心底嫌われる前に、もう一度だけ千里の感触を体に焼きつけておきたかった。シャツ越しに肌の柔らかさを確かめて、それで満足するつもりだった。


満足出来ると、何故思っていたのだろう。

血がたぎり、体が痛いくらいに熱い。
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