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BeLoved.
第35章 【hey my friend.】

『未結のことが好きだから!』
過去に同じ言葉を言われた覚えがある。
浮かぶのは紫の屈託ない笑顔。
あれは高校時代の…いつだったろう。
なにげない、日常の一部だったかな…
あなたは変わらないね、紫。
あなたはきれいなままだよ。
──でも、わたしは違う。
わたしはあなたが思ってくれてるような『いい子』じゃない。
わたしはもう、あなたと過ごしていた頃の『未結』じゃない。
ご主人さまたちに愛されて満たされていく日々。
それは堪らなく甘くてとても美味しい。溺れる。
いつしかわたしはとてもずるくなってしまった。
どうすればもっと愛される?
どうすればもっと満たされる?
そんなことばっかり考えてる。
今わたしに触れる、彼。
ここにはいない、『彼』。
彼らを失いたくない。
呆れられちゃうかな。
軽蔑されちゃうかな。
でも…もう少しだけ…
……………。
「──ここまでにしておくね」
今日は『彼』の日。麗さまはわたしを抱けない。
いつかの時のように、それが破られることはなかった。…ほら。それすら残念に思っている自分がいる。…もう駄目だ。わたしは堕ちるところまで堕ちたんだ。
離れかけたぬくもりを引き留めるように、自分から縋り付いた。
「…未結ちゃん。聞こえなかった?」
「ごめんなさい…もう少し…このまま…」
不安。恐怖。ううん。何よりも。
弱くて汚いわたし自身から、逃げるために。

