この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】

──あれ、おかしいな。なに?この気持ち。
予想していたし、弁えていたことじゃない。

「流星、幸ちゃんのこと大好きでね」

わたしは家政婦で、彼は雇用主のひとり。
それ以上でもそれ以下でもないんだって。

「あの子この子に童貞あげたんじゃなかったかな?」

たとえどんなに身体を重ねても
『愛してる』って何度伝えられても

「幸ちゃんも流星のこと好きでいてくれて」

わたしは家政婦。彼は雇用主のひとり。
わたしと彼とは住んでいる世界が違う。

「ふたりとも幸せそうだったよ」

……最初からわきまえていたじゃない……











「まあ、幸ちゃんもう居ないけどね」

呪文みたく、心の中で繰り返していた最中。それまで通り抜けるだけだった椎名さまの声は、わたしを現実に引き戻した。これ以上ない衝撃と共に。

「死んじゃったから」
「?!」
「一昨年頃かな。病気でね。呆気なかったよ」

…亡くなった?…こんなに若いのに?

「若いから、だよ。──あ、わかった」

返されたとき手を滑らせ、落としてしまった携帯。椎名さまはそれを拾い上げ軽く拭ってくれた後、こちらに差し出した。画面に写るのは──あの写真。その向こうで。流星さまと瓜二つの三白眼の瞳は、わたしをまっすぐ見据えた。


「未結ちゃん、幸ちゃんに似てるんだ」


──あれ、おかしいな。どうしたんだろう。

何も見えない。聞こえない。感じない。
彼の兄の言葉と……眼差し以外は。


──流星が本当に好きなのは幸ちゃんだけ。
──きみは幸ちゃんの身代わりだったんだ。


「だから麗ちゃんと"ふたりのもの"になんてできたんだね」

本当なら他の誰にも触れさせない。
何が何でも自分だけのものにする。

それが有栖川の人間。実際流星の母親は、そうやって流一朗さんを手に入れたんだよ。

「言ったっけ?流一朗さん、婿養子なの」

既に妻子…つまり僕と僕の母親がいた流一朗さんに横恋慕した、有栖川の一人娘は。
金、権力、色香。己の武器を総動員し奪い取った。
ずっとこの『俺様』に尽くしっぱなしだった僕の母親は病んじゃってね。早死したよ。

そんなことばかりしてきたから、有栖川は古から沢山の恨みを買ってきてる。冗談抜きで呪われた家系なの。

「だから流星も"視える"んだよ。可哀想にね」
/404ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ