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BeLoved.
第43章 【彼の根底にあるもの。1】

「椎名!」
叩き付けるように開けられた襖。響く怒号。
…我に帰った時には流星さまが戻ってきていた。
「お前なに未結にくだらねー話してんだよ!」
「わー流ちゃんごめーん。だってさー、真面目な話するなら今しかないって思ったんだもーん。次会う時には未結ちゃんもう、麗ちゃんのものかもしれないしー」
「だったら尚更必要ねーだろ!」
ついさっきまでの雰囲気が嘘のよう。両手を頭の後ろで組みながら屈託なく笑い棒読みで謝罪する椎名さまを、流星さまは心底忌々しげに睨み付けた。
「"発熱した、危ないかも"って言われて来たらこれかよ…俺もー帰るわ、気分悪りぃ。──おい未結行くぞ!…おまえもな、大概にしろよ。いつまでもボケっとしてんじゃねーぞ!」
「す、すみませ…っ」
「流ちゃんそんな怒んないのー」
「うるせーな!誰のせいだと思ってんだよ!!」
「ま、未結ちゃん気にしないでねー。話半分にしてて」
腕を掴まれ立ち上がらされて。椎名さまと…お父さまへのお詫びとお別れもそこそこに、引きずられるようにして部屋を出たわたしには。椎名さまの最後の言葉と表情は届かなかった。
「恨み買ってんのは本当だけどね」

