パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第44章 【彼の根底にあるもの。2】

｢目、そのまま開けててね｣
｢…ん！ふぁ…、ん…ぅ…っ ｣

鼻にかかった嬌声が零れ、下腹部が疼く。──だって麗がキスの形を変え、お互いの顔の前で。彼とわたしの舌を目に見える状態で、絡み合わせたから。

それまで咥内で…見えないところで為されていた交わり。可視化されてしまったそれは堪らなく扇情的で、いやらしくて、だらしなくて──気持ちよくて。溺れた。

｢ぁ──…っ、…ん…、…｣

顔は僅かに上向かされているから、重力に従い唾液は喉を伝い落ちてくる。わたしはそれを躊躇なく飲み込む。こくん、こくんと小さく喉音を立てて。…いつも彼がしてくれるみたいに。

｢！んん…っ！…｣

それに煽られたのか。急に、ぐい、と引き寄せられて。舌全体が彼の咥内に包まれた。…甘噛みされながら柔い力で吸い上げられる。…これ…だいすき…頭どころか全身が芯を失っていく。

冷静になれば(なれないけど)キスしかしていない。
なのにこんなにとろかされて。どれだけ『慣らされた』のかを改めて知らしめられて。──でもそれはそれだけ『愛された』ということでもあって。

｢……｣

胸の奥から渾々と湧き出る、何とも言えない感情。それに急き立てられるように。彼の首に回したままだった腕に、力を込めた。


｢…ねえ、未結の部屋行きたい｣
｢…え… ？…ひゃっ！｣

中断したキス。こちらの返事も待たず、彼はわたしを胸に抱き立ち上がった。落ちないように更にきつく抱きついたのと、思わず漏らしてしまった悲鳴にも構わずに。

｢プレゼント、ちょうだい｣
｢？！わたし、なにも…っ｣

廊下を行きながらの言葉に面食らった。だってそんなもの用意していない。しかし彼は慌てるわたしに苦笑しながら、さも当然と言った様子で返してきた。

｢未結のことに決まってるでしょ｣
｢……｣
｢大好きなんだから｣

彼は髪にキスを落としながら言った。…本当に、何処までストレートなの…恥ずかしさを押し殺すように、彼の首筋に顔を埋めた。