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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】

──やがて、共に昇り詰めて。彼はわたしから離れた。愛おしむように髪を撫で、何度もキスと「愛してる」という言葉を落としてくれながら。

解放された体をシーツに沈み込ませ、内側から響いてくる甘い余韻に浸った。…好きな時間。でも、だめ。早く起きなくちゃ。
まだ呼吸は整いきっていなかったけど、無理やり上体を起こした。伝えなきゃならないことがあるから。

「…っ、おら…じょ…び、ぉめれ…」

お誕生日おめでとうございます。と言ったはずだった。言いたかった。情けないかな呂律が回らない。それどころか身体に力が入らずバランスを崩し、シーツに顔面から突っ伏してしまった。

「ちょっ…、大丈夫?未結」
「ご、ごぇんなさ… …あ」

打ち付けた鼻を押さえつつ顔を上げれば。こちらに背を向けベッドの縁に腰かけた麗さまが呆れた表情を向けていた。
その手元がごそごそと動いてる。役目を果たした避妊具を外しているとに気づくのに、時間はかからなかった。

「っ、見せて下さいっ!」

さっきの失態は何処吹く風。バネのように跳ね起こした体を寄せ、背後から手元を覗き込み叫んだ。

「なんで?!」

不意打ちを食らった彼は、珍しくビクリと肩を震わせて疑問に満ちた声を返してきた。…当たり前だ。

「えと…その…見てみたくて」
「…別にいいけど。はい」

思ったままに返したわたし。彼はそれ以上追求することなく、素直にそれを手渡してくれた。こんなにまじまじと見るのは初めて。何かドキドキする…

「わ…」

薄いピンク色で、口をきつく結ばれたそれ。中は白濁の液で満たされている。量は…半分より少し多いくらい?掌に乗せてつついてみる。思ったより水っぽいんだ…

「これ、多いんですか?少ないんですか?」
「…多いんじゃない?昨日出してな…──って、これオナニー見られるより恥ずかしいんだけど。未結ちゃん」
「?どうしてですか?」

そのままきょとんと尋ねたわたしに彼は小さく溜息をつくと「もういいよね」とそれを回収してしまった。そんなに恥ずかしいものなのかな?

「まぁ、未結には色んなとこ見られてるからね、今更っちゃ今更だけど」
「…。ふふ…っ、そうですね」

──余裕があるって怖い。

普段なら絶対言わないことも、言えてしまうんだもの。

「麗さまは、わたしのものですから」
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