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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】

──なっ、ななな、何言ってるの?!?

我に帰った瞬間、自らが口走った言葉に青ざめた。

『わたしのもの』なんて身の程知らず過ぎる台詞。確かにここ数ヶ月はそう思ってしまうことは多かったけど…『思う』と『言う』は全然違うんだから!

…ほら!麗さまだって驚いた表情のまま固まってる…

「未結今日…どうしたの?」

一人おたおたとするわたしの頭にぽんと手を置いて。彼は微笑み…というか苦笑を見せてくれた。それが余計に…その…怖くて。ご機嫌を損ねてしまったかと焦りが焦りを産んだ。

「ごめ…ごめんなさ…っおかしいですよね?!わたし…」
「嬉しいこといっぱい言ってくれるんだね」
「え…っ」

気付いた時にはもう、彼の腕の中。
優しい力で抱き寄せられていて。

「……」

…心配していたようなことは…なさそうか…な?緊張が解けていくに比例して、彼の体温と、頭を撫でてくれる手の心地良さが染み渡って。余計な力が抜けていった。

「…お誕生日、おめでとうございますっ」
「…うん。ありがとう、未結」

…ああそうだ、さっき言えなかったこと。
ちゃんと伝えなくちゃ。そう、伝えたい。

「これからもお祝いさせてくださいね!」

背中に回した手で、ぎゅ、と抱き締め返してその言葉を贈った。
…墓穴になったとも知らず。


「なにそれ、プロポーズみたい」
「はい!?」

なんですと??なんでそうなるの?!?──や、そう思わせてしまったならこちらが悪いんだけど…とにかく…あまりに突飛な返しに、目ん玉ひん剥いて見上げるしか無かった。彼は安定の容赦の無さで追い打ちをかける。

「決めた。今日サボる」
「はぇっ?!」
「だって未結と居たいもん」

誕生日だし。今日の相手ならシカトしても問題ないし。しれっと飛び出すまたしても彼らしからぬ発言。…そういえば以前彼ら言ってたっけ。「この部屋はやばい」と。あながち…間違いじゃないのかもしれない。

「だっ、だめですからね?!そんなの絶対!!」
「嘘。しないよ。どっかの馬鹿じゃあるまいし」
「〰もう!流星さまに失礼ですよっ」
「……俺、どっかの馬鹿 としか言ってないけど」

最終的に、わたしの間抜けっぷりが勝って。ふたりで額を合わせ笑いあった。…本当に、深く深い墓穴を掘ったとも知らず、暢気に。
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