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BeLoved.
第44章 【彼の根底にあるもの。2】
「まーいっか。おまえ、俺と来るもんな」
「へっ?」
「へ?じゃねーって。あのバカ今日オフなんだろ?あんなやべー状態の奴と二人になんてさせらんねーよ」
「はぁ…」
「何されるかわかったもんじゃねーもん。会社の側にビジホあるし、話通しとくからおまえそこに居ろ。そんで泊まろう」
行くぞ。と、有無を言わさず手を取られたけど…わたしの気持ちは決まっていた。
「…わたし、おうちにいます」
─────
確かに今の麗さまは普通じゃない…と思う。けどだからこそ、そんな状態の彼を一人にするのは気が引けた。最終的にそっちの気持ちが勝り、とられた手をそっと引いたのだった。
「は?マジで?!」
信じられない、と驚嘆丸出しで返されたけど、静かに頷く。放っておけない、心配だから。と、自分の気持ちを伝えて。
流星さまは眉間を寄せ、腕組みをして考え込んでしまった。
「羅々姉は確か学会で地方行くっつってたし、唯くんは絶対ぇ無理だし…かといって椎名来させたくねーし…あ"〰〰…」
彼はもどかしさをぶつけるように頭を掻き毟った。うぅ…葛藤させてしまいすみません。
ちなみに『社屋に連れていく』という選択肢は彼の中には存在しない。公私混同はしない。流星さま、こういうところ意外と真面目。
そうしているあいだにも、時間は刻々と過ぎていく。腕時計に目をやった彼は舌打ちをした。
「っあ" 〰時間ねーな!…いーな、未結! 何かあったらすぐ連絡しろよ!あ、そーだ。一日何かテキトーにエサ食わして離れてろ!わかったな!」
目と目が合う位置まで屈み、わたしの頬を両手で包みながら流星さまは言いつけた。…エサ…。
「行ってらっしゃいませ…」
ドアが閉まる直前まで、流星さまは「本当に気を付けろよ!」と心配し続けてくれた。
大丈夫、きっと。だって麗さまは麗さまだから。
そう思い、…ふう、と息をついた瞬間だった。
「みゆみゆ、もういい?」
「ひっ」
「遅いよ、待ちくたびれちゃった」
いつの間にやら背後にいた麗さまに、後ろから抱き締められてしまった。
「やっとふたりだね」
ちがう…捕獲された。