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想い想われ歪なカタチ
第1章 1
「流牙・・・・
・・流牙・・・ ごめんなさい・・・
・・母さん、ちょっと・・・用事があって・・
済んだら・・迎えに来るから
それまでこの公園で・・・遊んで待っていておくれね?
ごめん。ごめんね・・・」
母は、まるで、誰かに聞かれては困るように
押し殺した声で俺にそう 呟いた。
暦の上では春が来たと言えど、こんな凍てつく雪の日に、
公園を訪れる影など、俺達ふたり以外どこにも無いというのに。
「なんで謝るの?迎えにきてくれるんでしょ?
大丈夫。僕、ここでちゃんと待ってるよ」
微笑み返す俺に、母も口端だけ少し上げて見せた。
そして俺の視線に合わせて、しゃがみこんでいた腰をあげて、背を向けると
公園の出口に向かって、ゆっくりと歩き出した。
柵の切れ間の、公園の出口の樫の木の側で、母は一度だけ振り返った。
氷を含むような北風を背後から受けて、ほつれた黒髪が頬に張り付いていた。
『心配しないで。追っかけたりしないから。
絶対、ここを動かない。』
心の中で囁いて、にっこりと微笑んで見せた。
母も、微笑み返そうとして失敗し、くしゃくしゃの泣き顔を一瞬見せて、
顔をそらすと今にも駆け出さんばかりに、足早に去っていった。
母は もう ここに来てはくれない。
・・流牙・・・ ごめんなさい・・・
・・母さん、ちょっと・・・用事があって・・
済んだら・・迎えに来るから
それまでこの公園で・・・遊んで待っていておくれね?
ごめん。ごめんね・・・」
母は、まるで、誰かに聞かれては困るように
押し殺した声で俺にそう 呟いた。
暦の上では春が来たと言えど、こんな凍てつく雪の日に、
公園を訪れる影など、俺達ふたり以外どこにも無いというのに。
「なんで謝るの?迎えにきてくれるんでしょ?
大丈夫。僕、ここでちゃんと待ってるよ」
微笑み返す俺に、母も口端だけ少し上げて見せた。
そして俺の視線に合わせて、しゃがみこんでいた腰をあげて、背を向けると
公園の出口に向かって、ゆっくりと歩き出した。
柵の切れ間の、公園の出口の樫の木の側で、母は一度だけ振り返った。
氷を含むような北風を背後から受けて、ほつれた黒髪が頬に張り付いていた。
『心配しないで。追っかけたりしないから。
絶対、ここを動かない。』
心の中で囁いて、にっこりと微笑んで見せた。
母も、微笑み返そうとして失敗し、くしゃくしゃの泣き顔を一瞬見せて、
顔をそらすと今にも駆け出さんばかりに、足早に去っていった。
母は もう ここに来てはくれない。