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想い想われ歪なカタチ
第5章 5
・・・・この時、誰かが私の顔を見ることが出来たなら、
私はおそらく、あんぐりと口を開けたままの、すっごくマヌケな顔をしてたと思う。

実際のところ、流牙が口で言うほど激しいドアの壊され方はされなかった。
ただ、二箇所の蝶番のところを丁寧にくりぬかせて、
ドアであった物体を、凝った彫刻の施された役に立たない一枚の板に戻したのだった。
ゴウンと音を響かせて、重いドアは一度床に斜めになると、あっけなく取り除かれた。

私は 乾いた涙を頬に張り付かせて、伏せられた便器にちょこんと座ったまま、
ドアが取り除かれて現れた流牙の遥かに高い身長を、
首をひねって、ゆっくりと見上げただけだった。

流牙はすごく、怖い顔をしてた。
たぶん、すごく怒ってるんだ。
私のこと、怒ってるんだ。
私は自分がどんな顔をしているか分からなかった。
いったい、どしたらいいのか分からなかった。








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